【最高の戦略教科書 孫子】競争状態での原理原則が学べます。
今回の読書メモは『最高の戦略教科書 孫子』です。
本書を手にした理由は戦略について学びたいと考えたからです。
戦略の教材としてあげられるのが、「方向性」であれば歴史書、そして「競争状態での原理原則」であれば「孫子」という古典なのです。
「孫子」を自分にとっての智恵として吸収するためには、「簡単に言いなおせばどうなるのか」「より一般的に表現するとどうなるのか」といったように、まず抽象度をあげて考える必要があります。
そのうえで望ましいのは、「「孫子」にはこんな原則があるが、現代では通用しないのではないか」「自分の今までの経験からいえば、この指摘は逆になるのではないか」と、その抽象化した内容にツッコミを入れ、「その原則が成り立つ前提条件とは何か」「成り立たない状況での戦略とは何か」と考えることです。
このことによって、はじめて「競争状態での原理原則」の感覚は涵養されます。
著者
著者は、作家、中国古典研究家の方です。
大学卒業後、大手書店勤務を経て、現在は中国古典、主に『孫子』『論語』『老子』『荘子』『三国志』などの知恵を現代にどのように活かすかをテーマとした執筆や、企業での研修・講演を行っています。
目次
【第一章】百戦百勝は善の善なる者にあらず
【第二章】敵と味方の比べ方
【第三章】戦いにおける二つの原則――不敗と短期決戦
【第四章】兵は詭道なり
【第五章】情報格差のある状況での戦い方――各個撃破と急所
【第六章】情報格差が作れないときの戦い方 1主導権と裏の読みあい
【第七章】情報格差が作れないときの戦い方 2無形と勢い
【第八章】自国内での戦い方――地形とゲリラ戦
【第九章】勝は度から導き出される
【第十章】勝てる組織と将軍の条件
【第十一章】情報を制する者は戦いを制す
【第十二章】そもそも人生やビジネスに、戦いなんて必要ないのではないか
【第十三章】そもそも戦略と戦術とは、どう違うのか
【第十四章】試行錯誤ばかりしていたら心が折れそうなんですけど
【第十五章】ジリ貧状態では、不敗なんて守っていられないのではないか
【第十六章】相手の急所をつけば、すぐに決着などついてしまうのではないか
【第十七章】詭道やだましあいなんて、品性下げそうでいやなんですけど
【第十八章】「各個撃破」なら勝てるのに、なぜ「選択と集中」では失敗するのか
【第十九章】追いつめる以外の「勢い」の出し方はないのか
【第二十章】弱者はどのように振る舞えばよいのか
ここからは、本書でフセンをつけた箇所をまとめておきます。
彼我をどう比べるか
◆52ページ~56ページ◆
責任者は、どちらが戦いの理由を下まで浸透させているか
将軍は、どちらが有能であるか
天の時と地の利は、どちらに有利であるか
法令はどちらが徹底し、兵器や兵站はどちらがすぐれているか
軍隊は、どちらが精強であるか
兵卒は、どちらが訓練され、組織されているか
賞罰は、どちらが公正に行われているのか
自社と競合先を比べて分析する
「目的の浸透」「リーダーの資質」「天の時と地の利」「法令の徹底」「組織の精強さ」「訓練」「賞罰の公正さ」について競合先と比較するようにします。
勝負師にはバランスの良さが不可欠
◆198ページ~201ページ◆
1.「勇」のあり過ぎる人は、必死になり過ぎてしまう、すると討ち死にしてしまう。
2.「智」のあり過ぎる人は、自分の身の安全を考えてしまう、すると捕虜になる。
3.「厳」のあり過ぎる人は、感情面を刺激されて、敵の術中にはまってしまう。
4.「信」のあり過ぎる人は、清廉潔白にこだわり過ぎて、敵の挑発に黙っていられない。
5.「仁」のあり過ぎる人は、民衆を思いやり過ぎて、神経をやられてしまう。
「勇」「智」「厳」「信」「仁」のバランスをとる
「必死になり過ぎない」「身の安全を考え過ぎない」「感情的にならない」「清廉潔白にこだわり過ぎない」「メンバーを思いやり過ぎない」。
何事もバランスが大切です。
バランスをとるために、冷静になって自分を客観的に見つめるようにします。
彼を知り、己を知るとは
◆226ページ~228ページ◆
1.戦力差を鑑みて、勝てない相手とは戦わない
2.勝てる相手とだけ、勝てるやり方で戦う
3.味方が一致団結している
4.情報格差によって、敵は「え、戦うの」「準備が全然できていない」という状態になっている
5.有能な現場責任者に全権委任がなされている
これだけの前提や内容を含んだうえで、彼を知り己を知って戦ったなら、百回戦っても大丈夫だ、というのだ。そりゃ当たり前だよね、という声が聞こえてきそうだが、結局「孫子」とは、当たり前に勝てることを、当たり前に積み上げることを旨とした戦略書なのだ。
彼を知り、己を知る
「戦力差」「勝てるやり方」「味方が一致団結している」「情報格差」「現場責任者」の観点から競合を知り、自社を知るようにします。
取り入れたい習慣
今後取り入れたい習慣は以下の3点です。
1) 自社と競合先を比べて分析すること。
2) 「勇」「智」「厳」「信」「仁」のバランスをとること。
3) 彼を知り、己を知ること。
やっちゃえ!オッサン!おっさん は「まだまだ、やりますよ!」。
そしてあなたも「まだまだ、やれますよ!」。いっしょにがんばりましょう!!
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。また遊びにきてください。
よろしくお願いいたします。